お灸事典

よもぎ
世界中でハーブの母と呼ばれる「よもぎ」
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よもぎビール
爽やかな苦味と香り
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ビールの歴史に登場する「よもぎ」

「よもぎ」といえば、日本ではよもぎ餅やよもぎ茶、そしてお灸の原料「もぐさ」として知られていますが、ヨーロッパでも「ハーブの母」と呼ばれ、古くから人々の暮らしに寄り添ってきました。中世ヨーロッパでは、「よもぎ」はなんとビールづくりの主役でもありました。

とくに苦味が強く香り豊かな「ニガよもぎ」は、ビールに爽やかなアクセントを加えるハーブとして、欠かせない材料のひとつだったのです。

約5000年の歴史をもつ、ビールのはじまり

ビールの歴史は約5000年前、人類最古のメソポタミア文明にまでさかのぼります。粘土板に楔形文字で記されたビールのつくり方が、絵とともに残っています。
中世ヨーロッパでは、パンづくりと似た工程で醸造されるビールを栄養価の高い飲み物として重宝し、液体のパンとも呼ばれていました。ビールが人々の暮らしに深く関わっていたことがわかります。

ニガよもぎ

中世ビールに欠かせなかったグルート

ホップがまだ一般的ではなかった中世ヨーロッパでは、ビールに香りや風味、そして保存性を加えるため、グルートと呼ばれるハーブの調合が欠かせませんでした。

グルートとは、数種類のハーブを組み合わせたもの。代表的なハーブには、「ニガよもぎ」、タイム、ローズマリー、アニス、ジンジャーなどが用いられていました。

これらのハーブの調合レシピはグルート権と呼ばれ、販売されるほど価値のあるものでした。

なかでも「ニガよもぎ」は、そのキレのある爽やかな苦味と強い香りによって、グルートビールには欠かせない重要な存在でした。強い芳香と清涼感のある苦味が、ビールの風味を引き締め、グルートビールならではの個性を際立たせていたのです。

ホップの登場

その後、ビールの世界にはホップが登場します。強い抗菌力と安定した苦味を備えたホップは瞬く間に高く評価され、やがてビールの主役の座を獲得していきました。
その流れの中で、「ニガよもぎ」をはじめとするグルートビールは、次第に姿を消していったのです。

よみがえる「よもぎビール」

近年、クラフトビールの広がりとともに、ハーブの香りや風味を楽しむ「よもぎビール」が再び注目を集めるようになっています。
よもぎ特有の強い香りと爽やかな苦味に清涼感が加わり、ハーブの奥深い魅力をあらためて感じさせてくれる存在となっているのです。

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