お灸研究室お灸の歴史

お灸がたどってきた道

2000年以上も前に生まれた中国最古の医学書「黄帝内経」は2011年ユネスコの世界記憶遺産に選定されましたが、その中にはもちろんお灸についても記されています。
というのもお灸による治療法は、この時代にほぼ現在のカタチが完成していたといわれているほど古くから行なわれているのです。
お灸はヒトのカラダに点在するツボによもぎの葉の裏の綿毛だけをとり出したもぐさを置き、火をつけて、ツボをあたためることで血行をよくし、ヒトが持っている自分で治そうとするチカラ、自然治癒力を高めて、カラダにおこっている症状を改善します。
今のようにレントゲンもMRIもなかった時代、カラダの内部は未知の世界、そこでおこっている症状もわかりません。手でカラダをさすったり、押したりしているうちに、カラダの中でおこる症状がやわらぐポイントがあることがわかり、試行錯誤をくり返し、集大成されたのがお灸のツボ。ツボはお灸による治療法の根本なのです。
このお灸が日本に伝えられたのは奈良時代、仏教とともに中国から伝えられました。
そして、お灸は明治に、政府によって日本の医療を西洋医学とするという決定まで、1000年をはるかに越えて、漢方と共に長く日本の医療を支えてきたのです。
西洋医学は症状をひきおこしている原因を手術で取りのぞくことで解決をはかります。外科手術をよくし、感染症などにも強く、世界の医療と位置づけられてきました。

しかし、近年になって、慢性疾患への対応や、世界的に高齢化社会へと向かうなか、予防医学の必要性が見えてきました。治療としての医療から予防医学、未病への取組みが必要とされるようになり、2000年以上も前から病気がおこる以前の未病の段階で治療することをめざしてきたお灸をはじめ、東洋医学が今、世界の注目を集めているのです。
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