お灸事典

よもぎ
世界中でハーブの母と呼ばれる「よもぎ」
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「よもぎ」のサシェ
サシェは(Sachet)は、フランス語で「匂い袋」
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布の小さな袋の中に、ドライフラワーやハーブを入れて、袋からながれてくる自然の穏やかな香りを楽しむもの。
決して強い香りではありませんが、部屋に置くとフッと香りが伝わってくるのがサシェなのです。

「よもぎ」のサシェとは

サシェは、部屋の中で香りを楽しむだけでなく、クローゼットに吊るしたり、シューズボックスに入れたりすると「よもぎ」の防臭、防虫、殺菌など多くの働きで、衣装やシューズを守ってくれます。
また、枕元に置くと、優しい香りが眠りを深くしてくれるのです。

よもぎは

「よもぎ」には多くの種があり、世界に約250種、日本にも約30種あるとも言われています。
世界中どこでも育つ生命力豊かな「よもぎ」は、古くから人々の暮らしと密接な関係がありました。
ローマ時代には、兵士が「よもぎ」を靴の中に入れると足が疲れないとし、中国では乾燥させた「よもぎ」やハーブを入れた枕を「薬枕」と呼び、リラックスタイムに導くとされてきました。
「よもぎ」の香りは、ヨーロッパでは邪気を払うとされ、また「ハーブの母」とも呼ばれ広く利用されてきました。

日本でも「よもぎ」は、身近な万能薬として、切り傷の止血をはじめ、漢方薬では乾燥「よもぎ」を「艾葉(がいよう)」と呼び、生薬として利用してきました。

さらに、乾燥「よもぎ」を粉砕し、ふるいにかけて作られる「もぐさ」は、2000年以上も前からお灸に使われてきました。「よもぎ」のあの香りは「よもぎ」が外敵や雑菌から身を守るために身につけたもので、乾燥させてもその働きは続くのです。

正倉院の匂い袋

校倉造りで知られる奈良正倉院には、その御物の中に「小香袋」があります。
1000年をはるかにこえた時間の中で、「よもぎ」が入っていたかはさだかではありませんが、漆塗りの箱の中に衣装や大切な書物などと一緒に防虫剤、芳香剤として入れられてきた「小香袋」が、ずっと大切な御物を守ってきたのです。
今では世界最古の匂い袋とされています。

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よもぎ餅
よもぎもち
今では日本のソウルフード
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春一番に芽を出す「よもぎ」の若葉を使ったよもぎ餅は、その香りで春を知らせる食べものとされてきました。

今では、餅につき込まれた「よもぎ」の豊かな香りと、包まれた餡のほどよい甘さで、一年中ひろく人気のある食べ物となっています。

アイヌ民族にとって「よもぎ」は、この世に最初に登場した草と言われてきました。

その強い香りは、邪気を払うといわれています。

よもぎ餅のルーツ

古代中国では3月3日の上巳(じょうし)の日に、「よもぎ」と同じキク科のハハコグサを餅につき込んだ草餅を食べる習慣がありました。その香りで疫病除けとしたのです。

平安時代になるとこの習慣が日本に伝えられ、3月3日に草餅を日本でも食べるようになりました。

その後、室町時代に入る頃から、「よもぎ」がその香りの強さと緑色の鮮やかさで、ハハコグサに変わり草餅の材料として使われるようになりました。



ご当地のよもぎ餅

「よもぎ」は餅との相性がよく、餅につき込まれることが多いことから、「もち草」の名もあるほど、今では全国各地によもぎ餅があります。

岩手県の「よもぎまんじゅう」、熊野本宮(和歌山県)の「釜餅」、熊本県の「ふつもち」、鹿児島県の「かしゃもち」など、その名前だけでなくご当地らしさを盛り込んだよもぎ餅がいくつもあるのです。

春一番に芽を出し香り高く春を知らせてきた「よもぎ」は餅と出逢うことで、よもぎ餅となり、今では日本のソウルフードとなっているのです。

宗 懍 著、荊楚歳時記、東洋文庫、1978年02月、246p
稲垣栄洋 著、身近な雑草のゆかいな生き方、草思社、2003年07月、303p



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