お灸事典



大山
大神山神社奥宮(おおがみやまじんじゃおくみや)とは
大山の中腹、標高約900mに鎮座する大神山神社奥宮は、大神山神社の奥宮にあたります。
社殿は本殿、幣殿、拝殿と、長大な翼廊を一体化させた権現造りが特徴で、全国最大級の規模を誇り、国の重要文化財にも指定されています。
自然石を敷き詰めた700m以上の参道が、深い森の中に静かに延びています。
ご祭神に大己貴命(おおなむちのみこと)をお祀りし、大山(だいせん)を神体山と仰ぐ、山岳信仰に根ざした由緒ある古社です。
この奥宮は「神のおわす山」と称される大山信仰の中心地であり、自然への敬意と感謝の気持ちを捧げる場として、今も多くの参拝者が訪れています。

大神山神社

古式祭とは(神水汲取神事・もひとり神事)
毎年7月14日・15日に行われる古式祭は、「もひとり神事」とも呼ばれ、1000年以上の歴史をもつ、御神水と薬草「ヒトツバヨモギ」を御神前に捧げる神事です。
この神事は、かつて「弥山禅定(みせんぜんじょう)」と呼ばれていた行事が、形を変えながら受け継がれてきたものとも考えられています。
祭りは14日夕刻、大神山神社奥宮にて行われる夕祭から始まります。
翌15日、まだ夜が明ける前に神職と数名の随行者が大山山頂を目指して登拝し、日の出とともに石室で山頂祭が行われます。
続いて、石室前の「梵字ヶ池」(ぼんじがいけ)にて御神水(ごしんすい)を汲み、山に自生する薬草「ヒトツバヨモギ」を採取。
再び山を下り、大神山神社奥宮にてそれらを御神前にお供えし、正祭が斎行されます。
万病に効くと伝わる「ヒトツバヨモギ」
祭礼でお供えされた薬草「ヒトツバヨモギ」は、参拝者にも授与されます。
「ヒトツバヨモギ」(学名:Artemisia monophylla)は、キク科ヨモギ属の多年草で、日本各地の高山に自生しています。
一般的な「よもぎ」よりも葉の切れ込みが浅く、一枚葉のように見えることから、この名がつけられました。
この「ヒトツバヨモギ」は、よく乾燥させて煎じて飲むと万病に効くと、古くから語り継がれてきました。清らかな香りとほろ苦さは、心にすっと染みわたるとか。

人々の身体を癒してきたお灸の「よもぎ」には、さまざまな種類があり、その中には神事で大切に用いられてきたものもあるのです。