お灸事典

お灸の記録

二日灸
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二日灸とは

「二日灸(ふつかきゅう)」は、旧暦2月2日(現在の暦では3月頃)と8月2日(現在の暦では9月頃)にお灸をすえるとよいとされ、日本に古くから伝わる養生の風習です。江戸時代には広く知られ、この日にお灸をすえると「普段の倍の効果がある」、「無病息災」で過ごせるといわれていました。

旧暦2月は寒さがゆるみ、春の気配を感じはじめる頃。一方、旧暦8月は夏の疲れが出やすく、秋へと季節が移り変わる時期でもあります。季節の変わり目は体調を崩しやすいため、この日にお灸をすえて身体を整えるという養生の知恵が生まれました。

当時の人々にとってお灸は、日々の健康を守る身近な養生法でした。家族で二日灸をすえることも多く、健康を願う年中行事のひとつとして暮らしの中に根付いていたといわれています。

『養生訓』

『養生訓』にもみられるお灸の養生

江戸時代の儒学者・貝原益軒が著した健康指南書『養生訓(ようじょうくん)』にも、お灸についての記述があります。そこでは、“胃腸が弱く食べ物が滞りやすい人は、毎年2月と8月に灸をするとよい”と記されています。

季節の変わり目に身体を整えるという考え方は、昔から大切にされてきました。二日灸の習わしも、こうした養生の知恵のひとつとして広まったと考えられます。

俳句の季語「二日灸」

「二日灸」は俳句の季語としても知られ、昔から多くの俳人に詠まれてきました。

明治時代を代表する俳人・歌人 正岡子規(まさおかしき)

花に行く足に二日の灸かな
婆々様の顔をしぞ思ふ二日灸
二日灸ばゞ様の顔ありありと

江戸時代後期の俳人 小林一茶(こばやしいっさ)

褒美の画先へ掴んで二日灸
かくれ家や猫にすえる二日灸

明治から昭和にかけて活躍した俳人 高浜虚子(たかはまきょし)

先人も惜みし命二日灸
二日灸旅する足をいたはりぬ

俳句の中には、お灸のぬくもりとともに、家族の姿や日常の風景が描かれています。こうした句からも、二日灸が人々の暮らしの中に親しまれていた様子がうかがえます。

『諸國圖會年中行事大成』

『諸國圖會年中行事大成』にも記された二日灸

江戸時代の年中行事をまとめた書物『諸國圖會年中行事大成(しょこくずえねんじゅうぎょうじたいせい)』にも、二日灸の習わしが紹介されています。

この本は、京都を中心に日本各地の年中行事や神事、寺院の法会、風俗や習慣などをまとめたものです。その中にも二日灸の記述があり、当時の人々の暮らしの中で、お灸が健康を守る大切な習慣として広く行われていたことが伝えられています。

二日灸は、季節の変わり目にお灸をすえて健康を願う、日本に古くから伝わる養生法です。俳句にも詠まれるなど、人々の暮らしの中で親しまれ、先人の知恵として今に伝えられています。

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