お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2023.07.07

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ブナ「橅」


人の背丈になるのに20年かかるといわれるブナは、その美しい姿から森の女王と呼ばれてきました。
2018年、高さ30メートル、樹齢400年を超える白神山地のマザーツリーと呼ばれてきたブナの巨木が台風で倒れたことは全国的なニュースとなりました。
8000年も前から日本列島の森をつくってきたブナは、水を蓄え大地に根を張り酸素を生み出し、森の生き物に森の恵みを供給して生態系を支えてきました。
しかし、木材の価値が建材としてのみ見られるようになると、ブナは水を多く含むところから乾燥しにくく、建材としてはくるいやすいなどの理由から1950年代になると、林野庁の拡大造林政策によって、建材として使いやすい杉、松などの針葉樹の森に変わりブナの森はあちこちで姿を消したのです。

ブナは分のない木、使いようのない木ということでブナと呼ばれてきたとか
「木」篇に「無」と書いて「橅」と呼ばれる漢字さえ生まれるほどの扱いを受けてきました。

しかし近年になって、乾燥技術や加工技術の進歩によって、建材としてのブナは白く美しい木目と、長年生きてきた樹木としての存在感が高い評価を受けるようになっています。

今や東北というより日本列島を代表する森となって秋田県と青森県にまたがる広大な白神山地のブナの森は1993年、世界遺産に登録されました。
ほとんど人の手の入っていない東アジアで最大級の天然の森として、白神山地のブナの森は、今も多くの動植物が自生する貴重な生態系を未来に届ける人類の遺産なのです。

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