お灸のふるさと『近江』
とことこ散歩
お灸のふるさと 近江を歩く
「坂本」
比叡山のふもとに広がる「坂本」は、古くから比叡山延暦寺の門前町として栄えてきた歴史あるまち。
天台宗を開いた伝教大師・最澄の生誕地と伝えられる生源寺や、延暦寺に仕えた人々の暮らしを今に伝える公人屋敷など、まちの中にはさまざまな歴史の面影が残されています。
さらに歩みを進めると、自然石を巧みに積み上げた穴太衆積みの石垣や、美しい庭園が広がる旧竹林院、四季折々の風景が楽しめる日吉馬場へ。
比叡山の僧侶たちが暮らした里坊が点在し、歴史と文化が今も息づく坂本のまち。
風情ある石垣の町並みを眺めながら、比叡山とともに歩んできた坂本を、てくてく散歩してみませんか
お灸をしょう
公人屋敷(旧岡本邸)
比叡山延暦寺の門前町として栄えた坂本に残る「公人屋敷(旧岡本邸)」
公人(くにん)とは、延暦寺に仕え、寺院の運営やさまざまな仕事を担っていた人々のこと。かつて坂本には多くの公人が暮らし、延暦寺を支えていました。
公人屋敷(旧岡本邸)は、そんな公人たちの暮らしを今に伝える貴重な建物です。江戸時代末期に建てられた主屋には、大小9つの部屋があり、客人を迎える座敷など、当時の面影が残されています。
また、敷地内には年貢米などを保管していた米蔵や、訪れた武家の馬を預かっていた馬屋も残されており、公人たちが果たしていた役割をうかがい知ることができます。
アクセス
滋賀県大津市坂本6丁目27−10
日吉茶園(ひよしちゃえん)
比叡山のふもとにある「日吉茶園」は、日本最古の茶園と伝えられる歴史ある場所です。
平安時代、天台宗を開いた最澄が唐から持ち帰った茶の種を、この地に植えたのが始まりと伝えられています。
現在も茶の木が育つ園内には、長い年月を経て受け継がれてきたお茶の歴史が息づいています。
今では私たちの暮らしに欠かせないお茶ですが、日本に伝わった当初は、主に僧侶や貴族など限られた人々の間で飲まれていました。
鎌倉時代には、僧侶の栄西が『喫茶養生記』を著し、お茶の効用を説いています。その後、お茶を飲む習慣は武士や庶民にも広まり、茶の湯をはじめとする日本独自の茶文化へと発展していきました。
アクセス
滋賀県大津市坂本3丁目10
生源寺(しょうげんじ)
坂本の歴史を語るうえで欠かせない人物が、天台宗を開いた伝教大師・最澄です。
坂本にある「生源寺」は、最澄の生誕地と伝えられる歴史あるお寺です。
最澄は767年に生まれ、後に比叡山に入り、延暦寺の起源となる一乗止観院を建立しました。その後、唐(現在の中国)に渡って仏教を学び、帰国後、日本に天台宗を広めました。
生源寺の境内には、最澄の誕生時に産湯として使われたと伝えられる井戸が、今も残されています。
また、本尊として、最澄の弟子である慈覚大師・円仁がつくったと伝えられる十一面観世音菩薩が祀られています。
アクセス
滋賀県大津市坂本6丁目1-17
日吉馬場(ひよしのばんば)
京阪坂本比叡山口駅から日吉大社の鳥居へと続く道は「日吉馬場」と呼ばれ、坂本を代表する散策スポットとして親しまれています。
秋には鮮やかに色づいた葉が通りを彩り、春には道の両側に続く桜並木が美しい花を咲かせます。新緑の季節には青々とした木々が木陰をつくるなど、四季折々の風景を楽しむことができます。
アクセス
大津市坂本5丁目付近
鶴屋喜八(つるやきはち)
「鶴屋喜八」は、長い歴史を誇る手打ちそばの老舗です。
お店の由来によると、延暦寺で食事の世話をしていた僧侶が、遠方から訪れた旅人たちにそばを振る舞い、喜ばれたことが始まりと伝えられています。
また、比叡山では、厳しい修行を終えた僧侶たちが、弱った胃を慣らすためにそばを食べたともいわれています。
鶴屋喜八では、代々受け継がれてきた手打ちそばの伝統を今も大切に守り続けています。
お店の建物も見どころのひとつ。入母屋造りの趣ある建物は、国の登録有形文化財に登録されており、歴史を感じさせるたたずまいが印象的。
アクセス
滋賀県大津市坂本4丁目11-40
律院(りついん)
かつて「松禅院」と呼ばれた、比叡山横川の総里坊として知られる歴史あるお寺。
「里坊」とは、比叡山で修行を重ねた僧侶たちが、年を重ねてから山を下り、暮らすために設けられた住まいのこと。坂本には多くの里坊があり、僧侶たちの生活の場としても栄えてきました。
律院の見どころのひとつが、美しい庭園です。池泉回遊式庭園には、青々とした苔や茅葺き屋根の四阿(あずまや)、大きな石をくり抜いてつくられた手水鉢などがあり、四季折々の風情を楽しむことができます。
また、庭園を囲む穴太衆積みの石垣も見どころ。自然石を巧みに組み合わせた石積みが、歴史ある庭園の美しさを引き立てています。
本堂は、豊臣秀吉と淀殿の子で、幼くして亡くなった鶴松の菩提を弔うため、淀殿が建立したと伝えられています。
アクセス
滋賀県大津市坂本5丁目24-13
穴太衆積みの石垣(あのうしゅうづみ)
坂本を歩いていると、あちらこちらで目にする美しい石垣。その多くは「穴太衆積み」と呼ばれる伝統的な技法で築かれています。
穴太衆(あのうしゅう)とは、坂本に隣接する穴太の地を拠点に活躍した石工集団のこと。延暦寺や坂本の町で石積みの技術を磨いてきたといわれています。
穴太衆積みの特徴は、大小さまざまな自然石を巧みに組み合わせて積み上げること。石を同じ形に整えるのではなく、一つひとつの形や大きさを見極めながら積み重ね、丈夫で美しい石垣をつくり上げました。
その優れた技術は戦国時代の城づくりにも生かされ、織田信長が築いた安土城などの石垣にも関わったと伝えられています。
また、直木賞を受賞した今村翔吾さんの小説『塞王の楯』では、穴太衆の石工たちが主人公として描かれています。
坂本の町並みに溶け込む石垣。一つひとつ異なる石の形や積み方に目を向けると、自然の石を巧みに組み合わせた職人たちの技を感じることができます。
アクセス
滋賀県大津市坂本4丁目4付近
旧竹林院(きゅうちくりんいん)
かつて延暦寺の僧侶たちが暮らした里坊のひとつです。歴史ある建物と美しい庭園が残されており、建物は景観重要建造物に指定されています。
見どころは、約一千坪もの広さを誇る庭園。大宮川の清流を取り入れ、八王子山を借景とした池泉回遊式庭園で、国の名勝に指定されています。
庭園には四季折々の草木や苔むした石組みが美しく配置され、建物の座敷から眺める景色は、まるで一枚の絵画のよう。春の新緑、秋の紅葉など、季節ごとに異なる表情を楽しむことができます。
また、庭園内には「天の川席」と呼ばれる珍しい間取りの茶室があります。茅葺き屋根の趣ある建物で、その独特な造りは、武者小路千家東京道場以外には例がないともいわれています。
比叡山の僧侶たちの暮らしを今に伝える旧竹林院。歴史ある建物と庭園が織りなす美しい風景を眺めながら、ゆったりとしたひとときを過ごしてみませんか。
アクセス
滋賀県大津市坂本5丁目2-13
季節のメモ
香り豊かな蓬餅は、「比叡・三九良(ひえい・さくら)」の名物。滋賀県甲賀市の特産品である羽二重餅と、国産ヨモギをふんだんに使用しています。坂本の歴史ある町並みを散策したあとのひと休みにもおすすめ
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比叡山坂本へ






















