お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2021.04.02

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春は桜色

kona2
「春はかけ足でやってくる」のコトバ通り、次々と競うかのように花が咲く春には日本の色をあらわすコトバがたくさん生まれています。

萌黄色 桜色 菜の花色 藤色 若緑色…
なかでも春の色といえば桜色。古くから日本人の心をゆさぶりつづけてきた桜の花の色です。

桜色が始めて登場してきたのは、古今集に「桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむのちの形見に」とあるように平安時代にはもう使われていた色なのです。

今、日本の桜といえば江戸時代から品種改良が進み多くの品種が生まれ、花の色も紅に近いものから淡い白に近い色まで、実に多彩です。
しかし桜色と呼ばれる色は、日本に古くからある山桜の色。ほとんど白に近い淡い淡い色なのです。

その山桜の花の色は今日私たちがいちばん良く目にし、気象庁が桜の開花宣言の基準にしているソメイヨシノの淡いピンク色よりもっともっと白に近い色です。
そして山桜は、花が咲いて満開のあと葉が出るのではなく、花と同時に赤味を帯びた若葉が出るため、その葉の赤味と白に近い花弁が重なり合って山全体をやさしくつつむように染まった色が、本来の桜色なのです。

記憶色というコトバがありますが、ヒトがイメージとして記憶している色というのは実際の色より鮮やかに記憶しているものだそうで、近年スマホのカメラがどんどん進化して美しく映るといわれるのも、私たちの記憶色に現実の色を近づけるように改良された結果なのです。
そして桜色という色も日本の伝統色としての桜色より、どんどん鮮やかになってきているようです。

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