お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2022.03.04

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瀬戸内の春を告げるイカナゴ


瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴ漁が今年は3月1日に解禁されました。
20年くらい前までは兵庫県で3万トンもの水揚げがあったイカナゴですが、近年不漁がつづき令和2年にはなんと147トンにまで落ち込みました。
それだけに注目を集めていた今年の解禁、初日はまずまずの漁獲量だったようです。

この日、瀬戸内を代表する明石の林崎漁港では早朝からの漁の漁船の帰港を待って初セリが始まり、すぐ近くの魚の棚商店街にはイカナゴを求める人の長い列ができました。イカナゴはコウナゴとも呼ばれる20センチほどの魚で地方によっては他にも呼び名がある魚、きれいな砂地に生息するため、瀬と呼ばれる浅瀬があちこちにある瀬戸内海にはイカナゴが多いのです。
イカナゴは夏の間は砂にもぐって「夏眠」状態で過ごし、水温が低くなる12月頃から活動をはじめ産卵します。
その稚魚が3センチくらいになると「シンコ」と呼ばれ、これが今や大人気のイカナゴ、親より稚魚のほうが有名なのです。

このイカナゴが解禁の日は早朝から並ぶという人も多いという人気は「くぎ煮」にするためなのです。
美しくすきとおり淡いピンク色も見える とれたてのイカナゴをしょうゆとザラメに生姜を加え煮つめるとイカナゴは曲がった古釘のような姿になって煮上がるところからくぎ煮と呼ばれ、瀬戸内の春を知らせる味として知られています。
もとはといえば漁師のお家の料理でしたが、いつしか阪神間では大人気となり、明石にはくぎ煮のための大鍋さえ売られるほどです。
春のほんの一ヶ月たらずの間、それが過ぎると大きくなり、又 資源保護の観点から終わるイカナゴ漁は、いかにも瀬戸内の春の便りといった点が人気の秘密なのかもしれないのです。

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