お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2017.08.18

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行合いの空

sora
関東では記録的な雨つづきで冷夏ともいわれていますが、京都の夏は例年どおりの暑い夏です。
大文字の送り火も終わり、あとは8月の23、24の地蔵盆を残すのみ。
地蔵盆は各町内ごとにおまつりしてある、子供たちの見守り役、お地蔵さんに町内の子供たちがお礼をする行事、京都では8割もの町内で今もおこなわれています。
大人たちにとっても心に深く刻み込まれた地蔵盆は、今では「京都をつなぐ無形文化遺産」に指定され、京の伝統文化のひとつと位置づけられています。

そして地蔵盆が終わると、さしもの京の夏もいよいよ峠を迎えるのです。

この季節の季語に「行合いの空」というのがあります。ちょっとききなれない季語ですが、この時期の空は暑気と冷気が混在、夏の入道雲が見られる空の上のほうにはハケではいたような巻雲がうかんだり、時には入道雲と秋を知らせる鰯雲が同時にあらわれる日もあります。空では早や夏と秋の季節がゆきかっているのです。
  夏と秋と ゆきかふ空の かよひじは
  かたへ すずしき風や吹くらむ
これは古今集の夏歌の一番最後に位置づけられた歌で、季語の「行き合いの空」はこの歌から生まれたもの。
夏と秋の季節に通路があるとしたらはるか天空の秋の通路では、さぞ涼風が吹いているのでは、と詠んだもの。
平安時代も夏の暑さはそれこそ耐えがたきものだったようで古今集にも夏歌というのは春や秋に比べ、めっきり少なくほんの1/3にも満たないほど。

その中で涼しさを運んでくれる秋へのおもいをこめて、詠まれた歌なのです。

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